箱の基礎

ダンボールの印刷方法:オフセット印刷の特徴と製作事例をご紹介

回はダンボールの印刷方法の1つ「オフセット印刷」についてのご説明です。

ダンボールは、私たちにとって身近な存在ですよね。
スーパーで見かける段ボール箱から、通販で届く荷物まで、様々な場面で活躍しています。
しかし、ダンボールはただの梱包材ではありません。

近年では、オフセット印刷を用いて、
デザイン性・機能性を兼ね備えた高付加価値なダンボールが続々と登場しています。

このブログ記事では、ダンボールの印刷方法の1つ「オフセット印刷」について、その特徴と注意点を詳しく解説します。
さらに、実際にオフセット印刷を採用した製作事例も紹介していきます。

オフセット印刷とは

オフセット印刷は、水と油の反発を利用した印刷方式です。
版に凹凸がなく平らなため、高品質な印刷が可能で、
写真やイラストなどの複雑なデザインも鮮明に再現できます。

 

オフセット印刷の簡単な原理は下記のようになります。

①まず、薄い金属板や紙にデザインを描き、印刷版を作製します。
②印刷機にセットされた版に、水と油性のインクを塗布(off オフ)します。
③水は油性のインクを弾き、デザインに対応する部分だけにインクが残ります。
④版胴にゴム製のブランケットを巻き付け、そのブランケットにインクを転写(set セット)します。
⑤ブランケットから印刷紙にインクを転写し、印刷が完了します。

以上の流れから「オフセット」という名がつきました。

オフセット印刷の特徴

それでは、次にオフセット印刷の特徴について見ていきましょう。

①高品質な仕上がり

微細な網点表現が可能で、高品質な印刷と豊富な色彩表現により、
写真やイラストなどの高精細な印刷を実現できます。

②豊富な色彩表現が可能

 CMYK4色のインクに加え、特色インクを用いることで、多様な色表現を実現できます。
写真やイラストなどを自由に印刷することで、世界に一つだけのオリジナルデザインを表現できます。

また、表面加工によっても、仕上がりの雰囲気が変わるので、多種多様なデザインが可能になります。

 

【関連記事】
パッケージ(化粧箱/紙箱)の表面加工の種類と特徴、メリット、注意点、コスト比較を徹底解説

③安定した印刷品質

上記でお伝えしたように版と紙が直接触れないため、
擦れや汚れがなく、安定した印刷品質が得られます。

④大量生産に向いている

版を作製する初期費用がかかりますが、
大量生産することでコスト単価を下げることができます。

⑤印刷スピードが速い

オフセット印刷は短時間で大量に印刷する事が出来る為、
生産性が高く、多くの印刷物で用いられています。

オフセット印刷の注意点

それでは次にオフセット印刷の注意点を見ていきましょう。

弊社へご依頼頂く際は、
注意点やリスクを事前にお伝えしますのでご安心ください。

①小ロット生産には向いていない

版を作製する初期費用がかかるため、小ロット生産の場合はコストが高くなります。

また、機械調整の手間、立ち上げコストが発生し、これらの工程は小ロットの場合でも大ロットの場合と同様に発生するため、1枚あたりの単価に影響します。

最低受注数量を設けている企業もあるので、依頼前に一度確認しておく必要がありますね。

②納期がかかる

基本的にオフセット印刷は、乾燥に時間がかかるため、
納期に余裕を持って発注する必要があります。

しかし、紫外線を当ててインキを硬化させるUVインキを使用すると、
瞬間的に乾燥するので、納期短縮できます。
費用はUVインキの方が高いので、ご予算と相談しながら決める必要があります。

③厚手のダンボールには直接印刷できない

オフセット印刷は、薄紙から厚紙まで幅広い素材に対応できますが、
厚手のダンボールの場合は「合紙」と呼ばれる工程が必要になります。

ダンボールでは「合紙」でオフセット印刷を行う

上記の注意点で述べたように
ダンボールにおいてはG段(1㎜厚)を除いて、
直接オフセット印刷はできません。

ダンボールの場合は、
既に印刷された板紙(コートボール紙等)を
片段ダンボールに貼り合わせる「合紙」という方法が採用されます。

合紙で製造する場合は
B段(3㎜厚)
E段(1.5㎜厚)
F段(1.1㎜厚)
G段(0.9 ㎜厚)
が一般的な厚みになります。

 

ダンボールへのオフセット印刷の魅力は何といっても
①ダンボールの強度・緩衝性がありながら、
②フルカラーの表現が可能
の2点です。

合紙が採用されるのは、
板紙では耐えきれない重量だけど、綺麗な印刷がしたい!」場合になります。

 

そのため、ビールやワインのギフト箱果物のギフト箱
重量がある雑貨・家電の化粧箱などに採用されることが多いです。

 

パッケージのほかに、店舗用什器などにも使用されています。

段ボールのオフセット印刷 製作事例をご紹介!

この記事の最後に、弊社へご依頼いただいた段ボールのオフセット印刷の製作事例をご紹介いたします。

印刷色やデザインによって、商品イメージが全く異なるのがお分かりいただけると思います。

事例①クラフトビール 持ち手付きケース

クラフトビールを入れる[持ち手付きケース3種(3本入り・4本入り・6本入り)]です。
持ち手付きケースの中には、瓶同士がぶつからないようにそれぞれ本数に合わせた仕切りが付いています。

材質は E段(厚み1.5㎜)のダンボール合紙、オフセット印刷にて特色2色を用いて、積雪した蔵王山がデザインされ、深いブルーの中央に銀色で【ZAO BREWERY】のロゴが箔押し印刷されています。

【製作事例ページ】
クラフトビール 持ち手付きケース

事例②バレンタイン用OMUSUBI Cake3個箱

こちらは2月のバレンタイン季節に合わせたお客様のパッケージ事例です。

このパッケージの材質は厚さ約0.9mmのG段と呼ばれるダンボールです。
板紙のような鮮やかな4色印刷ができる点に加え、ダンボールとしての緩衝性を備えた材質です。

【製作事例ページ】
バレンタイン用OMUSUBI Cake3個箱

事例③オリジナルテイクアウトピザケース

こちらはイタリア政府公認のピッツェリア(=pizza専門店)マガジーノ様からご依頼いただいたテイクアウトケースです。

材質は E段(厚み1.5㎜)のダンボール合紙、印刷はピザ箱には珍しく4色フルカラーですが、環境配慮のため表面加工はニスでご提案し、段ボールゴミとして捨てられるパッケージになりました。

【製作事例ページ】
オリジナルテイクアウトピザケース

事例④通販用冷凍うなぎ 母の日用ギフトボックス

 

母の日ギフトセット用の「和モダン」かつ「優しさ」をイメージしたパッケージのデザイン依頼を頂きました。

材質は E段(厚み1.5㎜)のダンボール合紙、表面は特色3色のオフセット印刷、表面加工はマットPP加工を施しました。

裏面は、通常の白色のダンボールではなく、クリーム色のカラーダンボールを使用し、フタの裏側にフレキソ印刷でワンポンイトのカーネーションを印刷。

フタを開けると、感謝のメッセージとカーネーションが見えるようになっています。

【製作事例ページ】
通販用冷凍うなぎ 母の日用ギフトボックス

事例⑤ラ・フランス箱

 フタにはフルカラーの“オフセット印刷”がされており、より贈答品としての訴求力がアップしているパッケージです。

身箱は表面白色×裏面クラフト色のダンボールに、フレキソ印刷で品種・等級などが書き込める部分側面に設けられています。

 身箱には差し込み口に切れ込みがあり、素早く組み立てができます。
 天面のフタも、簡単に両側面に差し込むだけの作業性を重視した形状です。

【製作事例ページ】
ラ・フランス箱

まとめ

オフセット印刷は、ダンボールの化粧箱・ギフト箱の大量生産に最適な印刷方式です。
高品質な仕上がり、豊富な色彩表現、オリジナリティ溢れるデザインなど、多くのメリットがあります。

しかし、小ロット生産には向いていない、乾燥に時間がかかるなどのデメリットもあります。

オフセット印刷を採用する際には、
デザイン、素材、納期、コストなどの点を考慮し、最適な印刷方式を選択することが重要です。

ご紹介したような箱を製作したい企業様は、ぜひ弊社にお問い合わせください。